デザイン,作品案内

うちねこがいえでするとき 作・井川拓+絵・北村愛子

絵本のご紹介です。「うちねこがいえでするとき」作・井川拓+絵・北村愛子 です。

うちねこが旅するかわいい物語としてスッと読めますが、二度目にこれは人間の話では?と思って読むとまた違った印象になりました。時間をおいて開いてみたくなる本です。

井川拓さんは児童文学の作家であり、また映像制作集団「空族」で脚本を手掛けたこともある夭折の作家さんです。シンプルな話でありながら、不思議な読後感があって文学的な匂いを感じさせます。

絵は北村愛子さん。優しい色合いで、猫は北村さんが20年ともに暮らしたさくらちゃんがモデルになっています。どのカットを見ても愛おしい眼差しが伝わってきます。

絵本というと、フンワリした絵とか、シンプルで力強い絵が多いのではないでしょうか。そういう絵も良いのですが、北村さんの絵は柔らかいタッチや色調の中にしっかりとした誠実な線があります。優しい絵の奥に確かな力量を感じます。

こちらの本はなかなか流通していないようですが、アトリエあさま台においてありますので、手にとって見ていただくことができます。また少部数ですがお求めいただくことも可能です。是非ご連絡ください。

うちねこがいえでするとき 作・井川拓 絵・北村愛子
限定ポストカード付き(8枚)
価格:\3,500 (税別)
ご購入方法:吉祥寺美術学院メールフォーム(トップページ下部にあります)よりお問い合わせください。
吉祥寺美術学院
※アトリエあさま台でも少部数取り扱ってます

北村愛子さんへの絵の依頼等のお問い合わせも同じく吉祥寺美術学院、またはアトリエあさま台へご連絡いただければお取次ぎ致します。

日々の生活

今、石膏デッサンは必要か。

いつもの画材屋さん(朋友堂カマタさん)でふと面白そうな本があったので手にとってパラパラ見てみるとなかなかおもしろそうで、ついつい見てました。色々懐かしい。

お店の方に「ご自由にどうぞ」と声をかけられ気がつくと、そのとおり「ご自由にお持ちください」のワゴンにおいてありました。少しくたびれてますがなかなか立派な本。12月号だから去年の12月かな。もらって帰りました。

去年の12月号かと思ったら2005年の号でした。フリーワゴンとはいえ何故?

内容はとても面白く、会田誠氏のインタビューは、同世代ということもあって、一つ一つが懐かしくうなずく話でした。ただ「僕(会田氏)の翌年は久しぶりに試験に石膏が出て受験生がおたついた」という発言がありましたがこれは会田氏の記憶違い。なぜなら彼の翌年は自分が受験して、石膏ではなかったから間違いありません。

その後、私が芸大の試験官をやったときに大量の石膏を見た記憶があるので、「久しぶりに芸大の試験に石膏が出た」というのは事実ですがもう少しあとの話です。

それから野見山暁治先生のインタビュー。野見山先生は、それまで芸大の入試問題は石膏デッサンだったのを、石膏を排除し、試験制度を改革した教授としてあとあとまで語り継がれ、その話だけは知ってる人は多いと思いますが、それに至るまでの経緯や心情が直接語られててとてもおもしろい。さらに、石膏をやめて花を描かせたらお金がかかって周りからうるさく言われた話であるとかもなるほどな話。助手や出題官として大沼映夫先生、中林忠良先生と懐かしい名前が出てくるのも個人的に楽しい話でした。

著名な画家の石膏像も多く収録されていて、島田章三、村上隆、小松崎邦雄、黒田清輝、佐伯祐三、有元利夫の石膏像が。ちょっと笑ってしまいました。意外と皆真面目に描いているもんだなと。

村上隆氏の石膏デッサン。意外と真面目

実は「美術の窓」って買ったこと無かったかもしれません。今回も買っていませんが。学生の頃は美術誌と言えばまず「美術手帖(BT)」たまに「芸術新潮」気になる号があれば古い「みづゑ」なんて感じでしたが「美術の窓」も良いかもしれないですね。ちょっと気にしてみます。

日々の生活

コミック「ブルーピリオド」7巻がでました。ブルーピリオド、この漫画おすすめです。

何をやってもそつなくこなす、勉強もできるチャラい高校生・八虎が美術に出会い、芸大を目指し苦闘しながら受験に向かうというストーリーで、今7巻では受験後になってます(ネタバレ避けた)

作者が芸大卒ということもあって、作中の絵の描き方や見かた、試験に向かっての流れも変な嘘がありません。細部に至るまでよく描かれています。だいたいそのとおりで感心します。ただ嘘がないというだけでなく、さすがプロの漫画家さんだけあって惹きつける物語構成で読ませます。2020年マンガ大賞をはじめ多くの賞を取っているのも納得です。

苦笑したのが、予備校の面談で先生が理路整然と突きつける指摘。確かにそれそのとおり、なんだけど、こんなに親切で理屈立てて正論言ってくれる先生なんていなかったなぁ(笑)結論はそこに至るんですけどね。自分の絵が駄目なときの講評は

「全然だめ」(それ以外の説明なし)

とか

「…特にいうことないわ、お前ら(周りの人)なんか言ってやれよ」(それ以上説明なし)

とか。それはそのとおりで、本当にだめな絵というのはどっちつかずで右に行けとも左に行けとも言えて、それは自分で考えて選ぶしかなくて。友人や先輩と直接話したり、ときには見様見真似で真似してみたり、先輩の残した参考作品から読み取ったり、技法書を読んでみたり。たどり着くまでえらくかかって、苦労したものです。だからこそ身についたことも多いのでしょう。

読んでいて懐かしさや思い出すことも多いです、また自分自身もフレッシュなモチベーションが湧き上がってきます。初心を振り返ったり。

これから描く人や、過去受験した人は一層楽しめる良作です。※もちろんどちらでもない人にとっても面白い作品です。