神話 > アメリカに行こう (2)

アメリカに行こう (2)

そんな!

一緒に旅行する友人Aは先行してアメリカに来ている。ただしサンフランシスコだ。LAからSFへ長距離バスに乗って一人移動する。実をいうと私はこれが初めての海外旅行になるのだが、とてもそんな感慨にふける暇がないほどトラブルと冒険の連続だ。ロスのバスステーションは極度に治安が悪いところらしいし、サンフランシスコの友人に電話をしても連絡がとれずに伝言だけ伝えて現地待ち合わせだし、不安だらけだった。

心配をよそに、サンフランシスコのバス到着地で無事に彼と会うことができたが、ここである事実に私は驚愕する。彼は国際免許を取ってこなかったのだ。

車を使わないかも、というのを都合よく解釈して「車は使わないもんだと思った」などと言い訳してたが、国際免許は手続きだけだ。試験もなければ時間もとらない。取っとくだけは取っておいてほしかったが、どうしようもない。後の祭りだ。

一方私は免許もとって準備も整えてきてるだけにいまさら引っ込みはつかない。計画に変更はない。となかば意地になって譲らない。運転は私のみになるが、それでも購入の方向で、彼に納得してもらった。

中古車屋を回る

まずは車の購入だ。友人Aはその間適当にサンフランシスコを観光するなりしていたようだが、あまり待たせても申し訳ない。手早くいい車を見つけたいところだ。

中古車屋で見て回って思うのが、そんなに安くはないということ。価格相場は日本の中古車屋とさほど差はない。

たとえば骨董品、アンティークともなると事情も違って、同じものでも日本の1/3程度の値段が相場になってるし、品物の層も日本よりぐっと厚い。が、自動車のような実用品となると似たような価格に落ち着くのも道理だろうか。

とにかく目標となる価格はもっと下に設定してたんで、安そうな店を探す。ダウンタウンもはずれにある一軒のあやしげな中古車屋が、ちょうどそのような値段の車を置いていた。おお、いいねぇ。いい値段だし、おあつらえ向きだ。どうせ3ヶ月持てば良し。そこそこでいいじゃん。とすごく安易な気持ちで買う気満々になり、結局その車に決めることになった。

初めて買う自動車は一日で…

赤いシボレーのファミリーカーだ。シボレーというとコルベットとかバカでかいオフロード車を思い浮かべるが、日本車みたいなデザインだ。OEMだろうか。細部についてはよく覚えていない。日本車っぽいのが故障しにくそうで安心だ。

エンジンを掛け早速サンフランシスコの街を走る。自由に行きたいところに好きな時間にいけるってのはやっぱり最高だね。さてサンフランシスコの次はどこに行こうか。そう友人Aと話しながらその日は過ぎていった。

翌日、坂の多い街を走ってみたが、坂になると妙に車がつらそうだ。パワーがない感じというか、軽自動車で坂を登ってるような感じだ。(注:そんな比喩ができるのは今だからこそで、当時は違和感を感じながら、こんなものかなと思うだけだった)

交差点で止まっていると、2サイクルのバイクのような生ガス臭い排気が漂ってきた。さすがにアメリカ、整備の悪い車が平気で走ってるんだなぁアハハと周囲を見ると自分のほかに車はいない。ていうか自分の車じゃん!ものすごい排気の量だ。素人目にも異常なのは明らかだ。エンジンの掛かりも次第に悪くなってくるような気がする。ヤバイ。

とにかく分かる人に見てもらわなければ。できれば日本語の通じる味方が欲しい。困った私はクレジットカードのサービスデスクに電話して、日本語の話せる整備工場を教えてもらって、そこに行って見てもらうことにした。

(つづく)


index | 前へ | 次へ