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  • 建築物鑑賞02

渋谷の建築7:都営渋谷東二丁目第2アパート

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設計:東京都 / 竣工:1969年

大型ながら築40年も近い、古くて特徴のない都営アパート。しかし裏手に回るとちょっとした仕掛けがある。まるで秘密基地のような仕掛けが。

というより、このビルには一階が、無い。居住スペースとして一階が無い、というのではなく、本当に何も無いのです。柱だけ。そして反対側が見えます。高床式のアパートになっていて、高さ6mの空間には何があるかというと。

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なんとバスの車庫になっています。収容規模はバス120台分、整備や給油設備もあり、23区内のバスの営業所としても最大規模。布団干すベランダの直下にバスが並ぶ絵はなかなかシュール。

住人は各室備え付けのシューターから滑り降りて、開閉式のバスの屋根から始発バスのシートへ着座。というような仕掛けはありませんが、少なくとも終バスで寝過ごして乗り過ごすことは無さそう。

尤も、渋谷駅南口から徒歩5分程度、恵比寿の駅も同程度の距離で明治通りに面しているのでバスでなくともアクセスは抜群なのですが。

渋谷の建築8:渋谷駅南口連絡通路

Photo by PDA

最近、専門学校の学生によるペインティングが施されました。テーマは春の小川だそうで。場所はコチラ。

しかしどうなのかこの絵は。専門学校の生徒が自発的に描いたわけではないだろう。もしそうなら課題に縛られすぎ。もしくはクライアントの意向を汲みすぎ。原画は学生とは無関係なのかもしれない。ありえないほど古臭すぎる絵柄だしね。

なんでこういう絵を描かせたのかというのはなんとなく想像がつくところ。落書きを描かせないためとか。渋谷は落書きだらけの街ですからねぇ。

たとえば、南口からしばらく歩きますが、ココとか極めつけにすごい。並木橋ガード下トンネル。

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折り重なるように字に字を重ねたコンクリートのトンネルは、もはや消す人もない無法地帯に。

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しかしここでは、たびたび撮影が行われているようで、レフ版を持った男やカメラマン、スタッフに囲まれたモデルという風景を何度も目にしました。ロケの名所なのかもしれません。

それにしても春の小川。

fishroad.JPG

これを描けば、学生の作品の上に落書きをするという酷いことはまさかやらないだろう、という目論みは上手くいくかもしれませんが、同時に撮影しようと思う人もいなくなるでしょうね。

学生の作品と落書きと、価値はどっちがどうなのか。落書きをさせないために落書き以下の…いやいや、左翼系政党のオバチャン議員センセイにはウケのいい絵なのかもしれませんね。

ところで、何故春の小川がテーマかというと、童謡「春の小川」は、渋谷川の源流、河骨川をモデルとしているから、というわけで。渋谷川は、この地下通路のすぐそばを流れる、いや流れない、水溜りのようなどぶ川で、その源流は宇田川(現宇田川町)を遡り、代々木八幡近辺にあたります。代々木八幡駅近くに歌碑もあります。

渋谷川・古川流域連絡会 : 渋谷川・古川流域図

渋谷川・古川流域連絡会 : 春の小川

で、童謡の春の小川も、じつは歌詞は全くオリジナルではないんですよね。何度か改変され、時代によって姿を変えています。

春の小川 - Wikipedia

この曲の歌詞は2回改変された。このために世代によって覚えている歌詞が違うという問題ができた。

そういうことを踏まえて改めて絵を見ると、一段と感慨深いものが、ええと、ありませんね。

ちなみに現在の;春の小川;渋谷川。

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渋谷の建築9:アミーホール

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三角形を組み合わせた外装が美しく、ミッドセンチュリーを感じさせます。建築年代もおそらくそれくらいではないかと推測します。

アミーホールは全館イベントホールで、各フロアは、それぞれ展示会や会議、イベント用に貸し出されるようです。丁寧に使われていたんでしょう、それなりに年季は入ってますが良い状態です。

アミーホールの竣工年や設計者について調べてみました。検索しようと入力すると「網ーホール」などとたわけた変換。困ります。カタカナに直して、と。

ところがネットで調べても、手持ちの建築資料で調べても、アミーホールについては出ていませんでした。情報無しも寂しいのでビルの管理会社に直接電話をして、聞いてみました。

竣工年や設計者については「そういう情報は公開していません」とのこと。残念。しかし、電話して一つ分かったことがあります。何となく、ですが、名前の由来は分かりました。なんとなく、ですけどね。

◆網野イベントビル興産 株式会社(アミー・ホール)

おそらくアミーホールのオーナーが「網野イベントビル」だからアミーホールなんでしょうね。魚鱗のように組み合わせたビル外壁面のフレームも、もしかすると「網」をモチーフにしたものかもしれません。そうしてみると、先の誤変換「網ーホール」もあながち間違いではないのかも。

ところで、やっぱり網野イベントビル興産、というからには社長さんの名前が「網野」さんなんでしょうね。

当然、常日頃社長は「アミノさん」って呼ばれてるんでしょうねぇ。

会社の運営が厳しい日もあったでしょう。そういう時は社長も「資金が足りてない」なんて言うわけで、つまり

「アミノさんが足りてないって」

なんて言われることもあるだろうし、会議予定がバッティングして「俺、今日の会議でなくていいかな?」なんて聞いたら

「必須!アミノさん!」

なんて答えられたりすることもあったに違いないし、…え?しつこい?くどい?面白くない?こりゃどうも失礼しました。

渋谷の建築10:岡本太郎記念館

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設計:坂倉準三 / 竣工:1953年

5月ということもあって太郎鯉のぼり。岡本太郎記念館は、もとは太郎氏の邸宅。設計はコルビジェの弟子としても知られる坂倉準三氏。しかしレンズ状の屋根は岡本太郎氏の発案によるものだそうです。

今は記念館として氏の作品が見れるほか、入り口部分ではケーキが買えて庭を前にお茶できるようになってます。


「加山雄三邸のある通りを若大将通りと呼ばれることは広く知られているが、青山の岡本太郎氏の邸宅のある通りは爆発通りと呼ばれている」

と、昔(27年は前のことだろう)ビックリハウスの投稿にありました。本当かいな。当時から半信半疑でしたが(つまりそれは半分信じてたわけですが)実際、どうなんでしょう。


岡本太郎氏は、ちょいといいオトナな年齢層以上であれば、顔も名前も良く知ってることでしょう。「芸術は爆発だ」とか「グラスの底に顔があってもいいじゃないか」(確かウィスキーのCM)とかで、セリフはもとより、ビックリしたような表情、しぐさ、喋り方が特徴的で、往時は田中角栄と双璧をなしてモノマネされる有名人の一人でしたから。

氏の作品は大阪万博での太陽の塔が最も有名で、都内でも青山円形劇場や銀座で目にする機会も多いことでしょう。誰もが知ってる岡本太郎という人はつまり高い評価を得てる芸術家センセイらしいけども、奇人で変わり者、どこがいいのか良くワカランというのが一般的な認識なんじゃないでしょうか。

世間では奇人ということになっていた岡本太郎氏、実はこの上なく真面目な芸術家で、その言葉からはベーシックな芸術観が伺えます。死後半世紀を越えても色褪せない著作は、近年再評価されています。逆に言うなら、氏の芸術はやや古臭く、現代美術ではなく近代絵画の領域。もちろん古いことがイケナイことでもないし、氏の価値を落すものでもありません。


私の友人が、岡本太郎氏存命の頃、たまたま遠巻きに見たことがあるとのこと。別の高名な芸術家か評論家(名前失念)と美術館かどこかで立ち話をしていたと。

私「で、どんな話してた?」

友人「いや、普通に喋ってたよ。例の太郎喋りじゃなくて。あれってTV向けの喋りなんだろうかね」

私「…」(そういうことを聞きたかったわけじゃないんだが)


これも存命中の話。あるとき百貨店のイベントで岡本太郎氏のサイン会が開かれ、そこに行った友人がいまして。昇りエスカレーターでふと気がつくと、目の前の人が岡本太郎その人であったと。サインする側貰う側が隣あってエスカレータに乗って同一地点を目指すというシチュエーションもシュールだ。

で、その友人もちょっと変わってて(というか問題があるのだが)サインを書いてもらう本を持参しており、それがピカソの画集だったわけです。普通はサインする人の著作か、色紙などプレーンなものにするのが常識というものではないかと思うところだけども、友人は友人なりのリスペクトを持って差し出したようです。

ピカソの画集を差し出された岡本太郎氏、丹念にページを開き中を見て最後のページを閉じたときに言った一言

「ボクのがないね!」(ここは岡本太郎モノマネ風で)


…てな話を思い出しましたよ。それにしてもケーキなんか出しちゃってさ。コジャレた空間に収まっちゃってさ。もし氏があの世から見ているなら、こういう納まりのよさにはいやぁな気分をされることでしょうね。

ところで、この建物。下の地図の場所にあるわけですが、骨董通りから一つ入った小さな道沿いにあります。「XX通り」と呼ぶにはあまりに短い。「爆発通り」という呼称はネタだったんでしょうねぇ。

代官山アドレス

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なんというストライプ。計算か偶然か。

代官山アドレス2

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岩のようなタイルを大きく敷いていて、それ自体は普通なんだけども、この写真でわかりますかね、プールの窓ガラスに映り込んで水面のコースティックに見えるんですよ。計算してるな。すごい。