MetLog

奇妙な夕飯 UFO編

袋入り焼きそばというものはどう作っても美味い食い物にはならない。マズイ。蒸し麺をカリッと焼くでもなくベタなソースに絡めてテキトウな野菜と炒めてさて美味いかというとそうはならない。屋台の焼きそば風だけどあれだって冷静に家で食べて美味いものでもない。

いつもそんなふうに思ってるわけではないけども、ふとそう思える瞬間があって。そういう思いが湧き上がると逆にカップ焼きそばのUFOを食べたくなる。

あれは美味い。よく出来た味と香りと食感。安っぽいけどそれぞれよくマッチしている。そこらの焼きそばより数段は美味い。ただ味がいつも全く同じで癖もあるから飽きやすい上に、値段も手頃でどこにでもあるから世間的に軽く扱われているというだけだ。

振り返るとUFOも随分食べてない。前回はいつだったか思い出そうとしてもロード時間が長すぎてタイムアウトになる。少なくとも一年は食べてない。だから食べたい。と妻にいうと買い置きは無いよ、というところでチャンチャンとなった。それが先週のこと。

「焼きそばUFOを食べたい」

という非常にささやかなハードルの低い目標設定は一週間待ちになった。三連休もあればどこかで食べてもいいだろう。モノはコンビニで買っておいた。

低くても設定した目標を計画通りにクリアすることでわずかな達成感を得、それが幾らかの自信を補給する。幸せってそんなもんだろう?

で、今日の昼あたり焼きそばにしようかと思ったらその前に妻が「寿司食べたい」との発言。寿司かUFOかというと寿司にせざるを得ない。というわけで昼は寿司になった。

それにしても夜にUFOはナシでしょう。朝も無い。昼しか無い。と思ってたら

「楽だし夜UFOにすれば」

との妻の発言。でも他の家族はどうするの?とそれぞれリサーチすると次女もUFOを食べたいと。そういえば次女UFOを食べたことが無いかも。長女は焼きそばではない、汁の入ったカップ麺が食べたいとの事。それはそれでいい。パパだけ好きなものというわけにも行かないので皆、それぞれ好きなものを食べれば良い。そういう事が可能なのもカップ麺の良さだ。

妻は何を食べたいか知らないがどうせビールだ、そんなには食べない。次女用のUFOを分ければいい。どうせ次女は一つを完食できないだろうし。カップ麺類は味が濃いから軽くライスだけ準備しようか。中身が偏ってるし軽くオカズも用意する?なら煮カボチャやフルーツ、焼豚のスライスとかも並べようか。じゃ、それでいいか。そんな話になった。それで済むとそう思ってた。

ところが妙な方向に何か歯車が食い違いおかしなことになっていく。

妻はキッチンで何か作ってるから見て驚いた。これがなんと袋入りの蒸し麺焼きそばを作っている。話を理解していたのだろうか?

「それ誰が食べるの?」

妻「次女は…

私「次女は一緒にUFO食べたいって言ってたじゃない?

妻「長女が何でもいいって言って

私「長女は何でもいいからスープ入りのカップ麺がいいって言ってたじゃない?私は袋麺がイヤだからUFOにしたいってのがそもそも話の始まりだよね?UFOを2つは作れないねそれじゃ。

妻「… いいわよ私が食べるから

(いや食べないでしょうアナタそんなに…)

で、その結果どうなったか。

てんこ盛りになった妻の手作りの蒸し麺焼きそばを目の前に私はUFOを食べる。次女にも分ける。長女はカップ麺。妻はビール。

誰も食べない蒸し麺焼きそばだけがテーブルの真中に鎮座し固く冷めていくのを見ながらカップ焼きそばを食べる夕食。入り交じる焼きそばの匂い。奇怪で不穏な気まずい空気が流れる。これなんて拷問?

低い目標設定は気持ちよく解決されなかった。

UFOの味は昔と変わらず、ああ、美味いもんだね、だけどもすぐまた食べたいとも思わないよ…

(来年あたり、またUFOを食べるか)

ラッピングされた山盛り焼きそばを見ながら、次は家族が居ない時に黙って一人で食べようと思った。