MetLog

髪は店長に

美容院に今日カットの予約の電話を入れました。時間が合いそうなので行くことにしますと告げると、美容師のご指名はありますか、と聞かれました。

「これまでAさんだったのですが…特に指名はありません」

分かりました、という答えでしたがきっと店長さんが付くことになるでしょう。


前回美容院に行くと、いつもカットをお願いしているAさんの様子が少し違ってるとは感じたのですが、やがて教えてくれました。辞めることにした、という話を。

郷里某県に帰る話や、ちょっとした事情などを聞きながら髪を切りました。残念だなぁとは思いますが仕方ありません。

髪を切り終わって店を出るときにこれまでありがとうございました、と彼女は言って私に手渡してくれた美容室の会員証には名刺が重ねてありました。店長の名刺でした。

今後引き継いで、店長にお願いします、と彼女は言うと

「店長ですから、辞めることはありませんから」

とちょっと笑って言いました。


彼女の最後の言葉に引っかかるものを感じてちょっと考えていました。これまでのことをゆっくり思い出して、ふっと気がついたのは家に帰ったあとでした。

彼女に髪を切ってもらうようになって二年半は過ぎてます。初めて店に入ったときに髪を切りながら話していて、Aさんの切り返しの鋭さに頭の良さを感じたのを覚えています。いくつかのたわいもない話、街の話や流行だとか、携帯の話題ではちょっと盛り上がって。そんな話に紛れて、そうだ、私は昔行ってた美容院の話をしました。

「私は髪を切る間隔が長くて三ヶ月以上置いて切ってたりしてたせいもあってね、髪を切りに行くと酷い時は毎回違う人に切って貰ったりしてね。同じ人に切ってもらえない。行くとすでに居ないんだよね。辞めちゃってて。回転が早いのは、仕事が大変なんですかねぇ。

そういうお店で髪を切るのもねぇ。どうも落ち着かないよね」

そんな話の結びにAさん辞めないでねなんて話をしたものでした。

そうかAさんはそのときの話、覚えてたんだなぁ。よく覚えてるなぁ、自分はすっかり忘れてましたよ。

人の話を上手に相槌をうって聞いているのはポーズじゃなくて、本当にちゃーんと話を聞いて受けとめてくれてたんだなぁ。


セルジオメンデスのマシュケナダがかかっていました。髪を切る店長と、やはりいくつかのたわいもない話を交わしました。世間話や流行だとか、携帯だとか。携帯の話題になったのは、今日機種変をしたという話がきっかけでした。

そういえば、初めて店に来た日には、その端末は買ったばかりでした。