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蜂と青春の光

VESPAの意味は、スズメバチ。丸く膨らんだ下腹部を持つボディラインが蜂のようだからとも、エンジン音が蜂の羽音のようだから、とも。


ベスパと言えば「ローマの休日」「探偵物語」「さらば青春の光」。

ローマの休日に限らずこの時期のイタリア映画にはベスパはわんさか登場します。フェリーニの甘い生活とかでもたくさん出てたと思いますが、重要な役割で出てるといえばローマの休日なんでしょう。

探偵物語で松田優作演じる工藤ちゃんの愛車がベスパ。これも有名。長いライターの火よりも有名。

ローマの休日、探偵物語と並んで言われるベスパの出る作品というと「さらば青春の光」なわけですが、実は見てないんです。折角なので、ツタヤで借りて見てみました。

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内容は、モッズ(スクーターに軍の払い下げコートでつるんでる、パンクス?)とロッカー(革ジャンにバイクでつるんでる、文字通りロッカー?)の対立と抗争を背景に主人公のむなしい栄光と挫折を描いた映画。

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B級とか低予算とかそういう向きもありますが、映画としてはよくできてるんではないでしょうか。冒頭、浴場で、隣から聞こえてくるロックに苛立ちモッズ系の歌を歌う主人公。互いにエスカレートしてしまいには怒鳴りあう。と、そこに大人(浴場の主人?)がやってきて怒られる、という全体を通しての話の縮図のようなエピソードがコンパクトに挿入されてるあたり、ちょっといいです。

しかしこの映画でスクーターの扱いはひどい。ロッカーの友人からはスピードが出ないと言われるし、デートの途中でエンストして停まるし、エンジンのかかりが悪く「押してやろうか?」とからかわれるというありさま。

古いからトラブルが多いとか扱いが悪いとか中古で状態が悪いとか日本は気候が違うからとかそういうんじゃなくて昔からそういう言われ方をされてたんだなぁと少し苦笑い。自分のはそんなことないよ調子いいよ!

でもさ、ちょっと見てて思ったんだけど、主人公の乗ってるスクーターはベスパじゃないよ!

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この、尻が長く鼻の尖ったシルエットは、ランブレッタ。ベスパと人気を二分し、いやそれ以上の人気を誇った、ベスパのライバル車。

ランブレッタとは自由と独立、を意味するようです。ははーん、英語でいうところのLiberty?と思ったけどこれは早とちりで関連は無かった(はず)(ソースは見失いましたが)

ランブレッタを作ったイノチェンティ社はもともと航空会社なんだとか。ベスパのピアジオ社も航空関係の会社です。モッズのシンボルマークとなる青白赤の同心円のターゲットマークも元はイギリス空軍のマーク。飛ぶこととモッズは何かつながりがあるのかもしれません。

やがて物語は後半になってやっと彼が登場します。モッズでもっともカッコいい、モッズの憧れ”エース”演じるのはスティング。

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デコレーションされた見事なVespa GS。大型のオールドベスパ特有のグラマラスな尻の丸さが美しいモデル。いいなぁ、カッコいい。デコレーションは無いほうが素の美しさが見れてもっといいんだが。

これがスティングの映画デビュー作になるわけですが、スティングって当然本名ではありません。ではスティングといわれるようになったのは何故かというと、ポリス結成以前のライブで蜂のような黒と黄色の縞のスーツを着ていたのでスティング(針)と呼ばれるようになった、ということらしい。ベスパにスティング。出来すぎた洒落か?

やがて主人公の失意と挫折にかぶさるように、ついに自由と独立の翼を潰されてしまいます。このへんも象徴的で、よくできてると思います。

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コメント (2)

岡田有希子の歌の中の歌詞にもベスパ出てきますよ。「♪赤いベスパ」と歌っています。

metro:

おー、そうなんですか。歌関係は気にしなかったけど、ほかにもありそうだね。

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