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リドルストーリー

あるリンクから知った、山形浩生氏の書籍紹介。

CUT 1998.07 それはあなたの日常を照らし、幾らか明澄にしてくれることだろう。

たとえばこの本には、電信柱とヤナギの木の恋の物語がある。電柱は、コールタールを塗られて黒く無骨で、ずっと電線をかついでいる。その隣のヤナギは、枝をそよがせて鳥なんかもきて、しだいに装いを変えて、だんだん成長してくる。電信柱はヤナギのざわめきやおしゃべりを、うとましく思いつつもそれに聞き惚れるようになる。

 ヤナギはその間にも育つ。そしてある時、電線の邪魔になるからと切り倒されてしまう。そして電柱の根本で薪になり、燃やされて、灰になって消えてしまう。

 その後も電柱は、ずっと立ち続ける。

 話はそれだけだ。

 それだけなのだけれど、最後にコッパードは一行だけ付け加える。それは通常のドラマ作家や小説家なら思いつきもしないような、残酷で悲しくて、そして同時にあり得るなかでいちばん日常的で平凡な結末だ。それをここで書いたって、この小説の価値はまったく変わらないのだけれど、でもぼくは意地が悪いので教えてあげない。いや、書いてしまおうか。そんな大げさなものじゃない。ただ、ぼくたちが日常ごく普通にやる、忘れるというのが、実は残酷で悲しいことでもあるんだというのをふと思い出させてくれる。それだけなのだ。

えらく続きが気になるんですが。これではリドルストーリーではないですか。

リドルストーリー

さて最後に付け加えられたのはどんな一文なんでしょうかね。私が考えた程度のものではないこととは思いますが、

「やがて傍らにポプラが植えられた。電柱は恋をした。」

これは平凡で通俗的過ぎるな。これでは?

「やがて電線は埋設されるようになり、電柱も切られて灰になった。」

イマイチだなぁ。気になる。ああ気になる。次にAmazonで買う本決定だな。

郵便局と蛇
郵便局と蛇
posted with amazlet on 07.05.12
A.E. コッパード A.E. Coppard 西崎 憲
国書刊行会 (1996/07)
売り上げランキング: 349624

コメント (2)

アドミィ:

まぁしかし、その本、在庫無いんじゃね?

metro:

一応3-5週間で、在庫切れでも無さそうですが…
みんな買わないで!といいたくなるような数です。

関係ないけど、国書刊行会とかそっち方面の本を多く扱ってた、神保町の「日本特価書籍」って本屋さん、今は無くなってて微妙にショックです。
思想書とかマニアックな文学書とかが多かったんですが、何故かどの本も微妙に定価より安くて、いい本屋さんだったんですが。

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