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日本料理って何だろう?

海外の日本食店舗に認証をつけたいらしい。

asahi.com :朝日新聞今日の朝刊-天声人語

外遊して、日本料理とはかけ離れた「日本料理」を出す店が多いのを憂えたそうだ。正しい和食を広めようと、海外の店に政府がお墨付きを与える制度づくりに乗り出した。所変われば食文化も変わるものだが、面妖なニホン料理は見過ごせないらしい。

参考1:松岡農林水産大臣記者会見概要 平成18年11月2日(木)

参考2:松岡農林水産大臣記者会見概要 平成18年12月12日(火)


二十台も後半の頃、友人Jとアメリカに行きました。気の向くままにあちこちの都市を車で回る、という感じでした。

彼の地で何十日か経った時のことです。サンディエゴのユースホステルだったかなぁ、その日の夕食のために、私はキッチンを漁りました。

塩はある。胡椒もある。フライパンも鍋もある。それを確認して、私たちは近くのスーパーでベーコンにスパゲッティ、ニンニクに卵といったものを買ってきましたよ。調理は私。特に料理が上手でもありませんが、それくらいはやります。何を作ったか説明するまでもありませんね。香ばしいガーリックの香りを広げながら、ダイニングで二人してスパゲッティを食べました。

その時、友人Jはホッとしたように私にこう言いました。

「いやぁいいなぁ!懐かしい、いい味だ。久しぶりに日本の味を食べたよ!」

別に醤油を使うわけでも日本料理なわけでもないし、材料だってアメリカ産です。しかし彼の言いたいことは充分にわかります。アメリカのスパゲティときたら… 一般的な店ではロクなスパゲティにありつけることなどなく、メキシカンなコッテリとした料理が幅を効かせ、何を食べてもウンザリでした。日本の料理を標榜する店でもそうです。唯一、美味しいと思えたのはチャイナタウンの屋台か、海辺の屋台のシュリンプ(ほとんど味付けのないエビ)ぐらいじゃないかと思います。

さて。それは置いといて。私の作った料理は日本料理ではないんですが。私の感覚で作った塩加減、脂っこさの度合いは、日本人の口に合うものではあったでしょう。それこそが日本の味、日本料理で、醤油を使って箸で食うことが日本料理じゃないんです。形や定義じゃない。

そんなことを思い出すと、この日本料理の味が云々、っていうことの無意味だなぁと思います。まぁ、多くの海外の食品は日本食であろうとなかろうと、口に合わないものに違いはないんだし、いいんじゃないですかね。

それに、逆もあります。かなり前ですが「日本の中華料理店の料理は中華料理じゃない、ウンザリした」とある中国人選手が言ったことを思い出しました。そんなもんでしょう。でもそれでいいんじゃないですかね。日本人だって中華料理の看板を見て、本場中国と同じ味だなんて思ったりしませんし。

もっとナロウレンジな話を言うと、私が東京に来た頃の話ですが、当時まだラーメンブームの前でほとんどの東京ラーメンというものはとても食えた代物じゃなかった。あまりラーメンも食べなかったんですがついつい九州ラーメンの暖簾に誘われて入った店で出されたものはとてつもなく脂の浮いたギトギトのラーメンで、九州じゃこんなラーメン食わないよ、なんだこりゃ?と思ったりしました。国内ですらそんなものですから。

今、ふと、思ったんですが。

案外、大臣外遊の折に「日本人の英語は英語じゃない」なんて言われてカッとなって思いついた言葉だったりしてね。

コメント (14)

尻薫:

>国内ですらそんなものですから。

国内ですらそんなもんですから、国外はなおさら、外国の人に誤解されないように、お墨付きを与えてあげておくのはいいんじゃないですか?

その国の人が、その国の人の口に合う日本料理を出すのはいいんですよ。日本人でもその国の人でもない国の人が、日本料理が人気だからって日本料理とは似て非なるものを出すからまずいのであって。
というのが主論だと思いますが?

つじ:

「誰がどこでどんな味付けの料理を作って食べるとしても、それは作る人と食べる人の勝手。」というのが根本にあり、それを踏まえたうえで、「しかし、もし料理に日本という言葉をつけるのであれば、やはり日本のオリジナルに近いものを作って欲しいなぁ」という感じで大臣さんが言っているのであれば、私としては賛成しますね。

これは、「日本にある「イタリアンピザ」や「インドカレー」は、どこのイタリアやインドなのよ」という問題と同じで、おそらくは、料理の味の問題ではなくて、もし商品に国名をつけるならどうすべきかという問題だと思います。

もう少し真面目で難しい話としては、料理というより食材の話になるのですが、FAO(国連食糧農業機関)と世界保健機構(WHO)が40年くらい前に共同で設立した国際食品規格委員会というのがあります。ここは残留農薬の基準など食の安全性に関する規格を作ったりしている国際機関なんですが、加工食品の名前と実物についての規定も設けています。極端な話、オレの商品にどんな名前を付けようが勝手だといって粉ミルクをコンニャクで固めたものをチーズと称して売ってはいかんわけです。国際的なルールがないと、各国で同じ名前の違う食品が開発されてしまい、貿易のときにトラブルになる恐れがあります。

最近の話題では、「キムチとはこういう材料を使ってこういう作り方をした漬物である」みたいな規定ができました。キムチの赤色と辛さはトウガラシによって作られてなくてはならない、なんてのがルール化されています。日本製のキムチは辛さを押さえつつ赤みを残すためトウガラシを減らして代わりにパプリカ(赤ピーマン)を使っていたので、規格化のときにいろいろ議論があったそうです。どういう風に決着したのかまでは知りませんが、たぶん適当に妥協したんでしょうね。

そんなこんなを考えると、農林水産大臣が、料理の名前と実際との不一致を気にするというのは職務として当然なのですよ。まあ、あえて難癖をつけるとしたら、もう少しビジネスの話、例えば「外国の食品工場で作った日本料理の素材を輸入するとか、逆に日本で製造した日本食の輸出をするとか、そういう交易上の都合のためには料理の名前と実物との対応がきちんとしてないと困る」みたいな方向にまで話を発展させるくらいのことはして欲しかったですが。料理の内容を監督するのは、農水省の本来の仕事じゃありませんから。

metro:

>尻薫さん

>日本人でもその国の人でもない国の人が、日本料理が人気だからって日本料理とは似て非なるものを出すからまずいのであって。

どこからどこまでが似て非なるか、ってところが結局難しいところだろうなぁと。ていうか定義できないんじゃないかと思います。また、日本に溢れる日本人の手になる似て非なる中華料理店を考えると、いいんじゃないの別に、とか私は思いました。

>つじさん

キムチなら話は簡単で、それを日本で言うとたとえば味噌汁は味噌を材料とし…となるでしょうし、肉じゃがを頼んでビーフシチューが出てきたらビックリですが(それはそれで面白い)単独の料理品目ではなく日本料理という括りではどうでしょうか。

気の利いた日本料理の店や寿司屋でもアボガドを使ったりワインやチーズや海外の食材を使うことも珍しくない。カリフォルニアロールなんて日本の寿司屋で普通に出るし。

大臣がどう考えているか、という話ですが、元の会見内容を見るとしきりに「ミシュラン」みたいな言葉が出ますが、ミシュランってタイヤメーカーが片手間に作った小冊子がもとで、いわばギネスブックのようなお遊び権威を国がやるというのはちょっとどうかと思います。それより国内の和食弁当で中国野菜が入ってる時には表示を。とか思ったり。

つじ:

そもそも日本国内で「日本料理」を作るときに、いちいち農水省にお伺いを立てたりはしませんからねぇ・・・ 冷凍食品のJASマークなんかは、それなりの意味と必要性があると思うんですが。

metro:

誰かの返答ではなく自分の考えまとめ。

・「日本料理」という括りはスタティックなレシピではなく、動的な文化。公的なお墨付きに意味はない。利益もない。何かを変える力もない。むしろ自由を奪うシバリでしかない。

・ミシュランは、私企業の余技のような態度であったのがよかった。主観だから、むしろ良い。公的認証には主観は通らない。抜け道ありの自爆ありのものにしかならないだろう。

・たとえば、メチャクチャな日本料理があったとして。それがものすごく美味ければ誰が文句を言うだろうか。逆に、お墨付きのある(海外の)日本料理がものすごく不味かったら?いかにそれが日本料理では無いか、必死で考えるだろう。知りたい情報は日本料理であるかどうかではなく、美味いか不味いか。

まだちょっとイマイチかな。あと詐称の問題か。

とくがわ:

この件に関しては微妙ですねぇ…
「ちょwおまそりゃないだろ!」といいたくなるような食材使われたものと
「なんだこれ?あ、でも食ったら意外といけるぜこれ」というものが
あるでしょうから。

極端な言い方をすると、日本で作られてるカレーライスあるじゃないですか。
あれインド人に言わせれば邪道かもしれませんけど、インド人の中にも
「ああいうの結構好きだよ俺」って人もいますし、最早国民食になっている
といっても過言じゃないですよね。

でもカレーライスを「日本食」認定となるとおいちょっと待てよと。

5分ほど考えた結論。
「日本食認定」ではなくて「美味い日本食っぽい奴認定」の方が
俺的には役立つとおもうんですよ松岡先生。
正直まずい店は勘弁ですので…
逆に言うとよほど海外で食った日本食っぽいものがまずかったんだろうか…

食い物の恨みって、おそろしいですね。

metro:

そうですね、私もたぶんそうなんだろうと思います>不味い店

日本食でないものを日本食だと言って出すのはサスガに問題だと思いますが、まぁそこまで期待しても。

そういえばアメリカでは、たまに春巻き(Spring Roll) の屋台なんかがあるんですが、あれって甘いソースが付いてるんですよねぇ。春巻きにハチミツかけるみたいな味ですよ。中華料理を名乗ってはないからいいのかもしれませんが、知らずに食べるとビックリですよ。味のほうはまぁ好みですから…

metro:

> 本人でもその国の人でもない国の人が、日本料理が人気だからって日本料理とは似て非なるものを出すからまずいのであって。
> というのが主論だと思いますが?

こっちかー!

痛いニュース(ノ∀`):【朝日】「いい加減なやつを気楽に食べさせてほしい」…日本食認定問題
http://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/924152.html

「味付けもしない丸めた米の上に、生魚を乗せて『寿司』だと言って平気で客の前に出す呆れた朝鮮人」

残念ながら、松岡大臣の発言を、前後を通してよく読むと、それは主論ではないと思います。一泊5万円の和風ホテルが流行ってて云々かんぬん…とか言ってるし、そっちの話を危惧してるわけではありません。むしろ2ちゃんねら的な誘導かな。

でも逆に、それでもまた無意味ですよ。何故なら、日本食を詐称して出す人間に、認証制度は無意味だから。認証を詐称するだけです。うそつきに嘘をつかないという証文を書かすのと同じくらい、やっぱり無意味ってことで。由々しき事態なのかもしれませんが、それはこれとは別の問題でしょう。

尻薫:

私企業が余技でやったものを詐称するならともかく、日本国が認証したものを詐称したことがばれた場合の扱いってどうですかね? まぁ、日本政府がそれでどうこうできるとは思いませんけど。

あと、よく読むと、5万円のホテルの話が主流ともとてもとれないんですが。

metro:

> 尻薫さん

もちろん5万円のホテルの話が主流ではありませんが、そうではなく、「本人でもその国の人でもない国の人が、日本料理が人気だからって日本料理とは似て非なるものを出すからまずい」という話が主流ではない、という話です。

そして、詐称した場合云々ですが、詐称を取り締まる/制限する、罰則を与える、ということを言ってるわけではないですね。…といっても、私も書いた段階ではそこまでちゃんと読んでませんでしたけど。

で、それを受けての私の意見/感想も、罰則や制限、取締りについての話題ではありません。というだけです。

「痛いニュース」の引用記事を改めて見ましたが、リンクが切れてないのは4件中2件だけで一件はモスクワ、一件はアメリカの記事で、正直信頼度は?な感じです。中にはサンフランシスコのジャパンタウンのほとんどだと書いてありますね。これはちょっと信じられませんが…昔は店の数自体もそんなに多くなかったけど、行ったのは10年以上前だし、あれから増えたのかなぁ。ジャパンタウンそのものも、SFの中心部からは外れてるし、LAのリトルトーキョーのような存在感も無いところだったし。ともあれ、私が書いたような方向の意見もすでに出てますね。

ていうか、詳しく他の記事を探すと、確かにかなりすごい状況っぽい記事も見当たりますね。多国籍国家と言われるアメリカですらコリアンタウン/チャイナタウンはわりとあるけど日本人街ってあんまり無いですし、なるほど人がいなけりゃ見かけだけでも、ってことでやってるんですかね。

その件で言いたいことは大体わかったつもりですが、そこが本論だという話でしたら、私はあまりに言えることが無くなります。私が話したい主旨とは違ってきますし、情報もあまり無いので。(そっちの方向では、どこまで信頼できる情報か自分としてはまだ懐疑的/それをどう扱っていいのか、まだ決められない)

尻薫:

そうですね。私にも、どこが本当の狙いだとかの正確なところはわかりません。この話の個人的な大掴み観はもってますが、まぁこれに限ったことでなく、曖昧な憶測に基づいていることだけは認識しとかなきゃいけないなとは思ってます。
なので、そういう曖昧な憶測に基づいていながら(いや、もしかしたら、確かな情報を持っているのかもしれないので確認してるんですが)、他人を貶すような言動をする、というのが、最近は好みではないのですよ。

まぁ、私はネット右翼なので、2ch的にいうとこんな感じな部分もありますが。
ヒント:朝日新聞に批判されている

metro:

ずいぶん安い根拠を出してきたね>ヒント

敵の敵は味方、という発想は同意しかねます。そしてそういう誘導に乗せられやすい2ch体質というのは警戒するようにしています。

これは2chだけがそうだというわけではなく、まさに朝日新聞もまた、何を言っても押しなべて与党批判閣僚批判しとけばいいや、って体質という意味では同質で、それがよく出ている朝日っぽい記事ではあると思います。(=記者は、大臣が何を言っても与党批判だから判断材料としては弱いよ)

それと、今回、朝日以外のメディアでもわりと取り上げられてますよ。

意見にはおおむね同意ですが、他人を貶めるというのはちょっとひどい言い方ですね。そのように読めましたか。大臣さんが可哀想ですか。

特定の組織や法人の利益を代表する公人の発言ですから、単純に「他人を貶す」ということには当たらないんじゃないかと思うことが一点、それはまぁ余地のある点でしょうから、置いておきます。それ以前に、私の論旨は貶めるのが主眼ではなくそこから考えていくことが論旨のつもりでしたので、うまくありませんね。

私の書くことが常にそうだとは言えませんが、概ね一番言いたいことは、最初の一行がベストだと考えてそこに集約して書くようにしてます。でなければ、最後の一行。これは、最初の一行よりは劣りますが。そしてもうひとつ、タイトル。できれば内容を集約したタイトルを付けたい。と思ってます。というわけで、今回の要旨は「タイトル」が全てです。大臣を貶める気はないです。最後に大臣を茶化すようなことを書いたのは、それらしい結末作りというか、オチっぽい感じで書いたことなんで、貶めるってことには当たらないんじゃないかというふうに思ってました。

あ、もちろん、私も同じく特定個人を貶めるような内容はあまり好きではありません。出来れば書かないようには心がけてます。

ていうか、貶めることが引っかかるならもっと酷いほかのエントリに返せばいいだろうに。やっぱりこの話題ですか。

あんまり2ちゃんねる臭のする話題には手を出さないつもりではいるんですが、そしてそういう方向じゃないつもりではいたんですが、ちょっと甘かったな。鬼門だ。

つじ:

今さらですが、日経新聞でこんなコラムを見つけました。

聞くだけで食欲がなくなる「日本政府認証」寿司
http://it.nikkei.co.jp/business/news/index.aspx?n=MMITzv000025032007

正直、役所が税金を投じてやるようなことはないと、私も思います。

metro:

宋氏ですか。読みましたがなかなか共感します。

料理の基準は出自じゃなくて、美味いか不味いか。それだけでいいと思います。

日本食を名乗る中華だろうがメキシカン(アメリカはそんな感じが多い)だろうが、多くは美味けりゃOK。だと思います。上手いニセモノが本家を豊かにすることもありますしね。あと衛生上の問題も重要ですが。

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