税理士:花村一生の税務相談室 - 女がマイホームにのぼせ上がってしまうと始末に負えない
かなり前の記事ですが、気になってたのと、追加ネタを見つけたので今更ですが何か書いてみます。
えらく薄っぺらなエントリーで、ネタかな?と思ってスルーの姿勢だったんですが、はてなブックマークでは共感する人も多く、家を買う理由を分かってない人がいかに多いかと思ってエントリを書いてみます。
「こんな安い給料でマイホームなんて論外でしょ」という言葉がのど元まで出てくる。
生活の身の丈に合わない無理なマイホーム購入、というのは確かに問題です。しかし、買いたがる背景として、マイホームそのものの単価がかなり安くなっており、今は、かつては5000万クラスの家が半額程度で手に入る。安価な工法や技術の向上、また保証基準も高くなり、安心して手を出しやすい時代になってきてるんですよね。しかも金利も安い。1、2年ほど前が底だったと思うんですが、今はまだまだ安く、ラストチャンスとばかりに購入される人も多いようです。今後金利も上がってきそうな状況でもあり、急いで買おうとしている人も多いそうですよ。
その点、上記の記事は全体的に古くさい常識観といつの時代の小言?と思うような内容で、とてもじゃないけどなんでこんなサザエさん的時代感覚のセピア色のネタが注目を浴びるのやらさっぱりわかりません。
サラリーマンは安い給料でこき使われ、いつクビになるか分からない「ハイリスク・ローリターン」の哀れな職業である。それなのにいまだにマイホームを買おうとするバカが多いのには呆れる。
フリーランスであれば、さらにハイリスクローリターンであり、起業家や自営業、会社役員にしてもハイリスクには変わりありません。どん底への落ち方もサラリーマンどころではないでしょう。ていうかそれ以前にローンが組めず買うことができないケースが多いと思うのですが、何と比べているのかが不明。とにかく「サラリーマンは安い給料で…」という定型句は受けがいいようですね。バカかどうかはまぁともかく。
マイホームといっても借金して買うのだから実態は“銀行借家”だ。借金を払い終わった頃には家はボロボロだ。“自分のもの”というのは錯覚にすぎない。
キメ台詞とばかりに大見得を切って言うほどのことではありませんね。どんなにバカだアホだと云うサラリーマンも主婦もそれくらいのことは分かってるわけです。所有財産価値で買うのはバブル期の金持ちくらいじゃないですかね。前後しますが、
雨露さえ凌げればマイホームであれ、アパート住まいであれ、変わるところはない。
という点に、この人の薄さが集約されています。アパート住まいとマイホームの違いが、分かっていない。そうか、知らないんだ。これで不動産専門の税理士なんだ。よくやっていけるなぁ。
たいていのケースはサラリーマン本人よりその奥さんがマイホームを欲しがる。
で、無理解のまま勘違いで話を進めるから捻れた方向に話が進むわけです。おかしな角度からモノを見れば、妙な姿に見えてしまう。ブレーメンの音楽隊症候群と名付けましょうか。後の話に繋がるんですが、なぜサラリーマン本人より奥さんがマイホームをほしがるのか、私は分かります。性別に関係があるかのように話を進めてますがそうではありません。家を買う動機が、家族、子供、というところにリンクしていくわけですから、関心はサラリーマン本人より奥さんが重くなるのは当然でしょうね。家族を見る人が主婦ですから。住人が増える可能性があり、そして構成員も物理的にも社会的にも大きくなっていくことが見込める、であるなら敷地面積の拡充は必須となる、となるとアパートだって安くない。そのへんが普通の一戸建ての購入動機でしょう。バーベキューパーティーをしたいから家を買うわけじゃない。
そのうち、ダンナの勤め先の会社の業績が悪くなって給料が下がる。家計は苦しくなり、奥さんはパートに出る。パートに出たところで大して家計の足しにはならない。
妄想ストーリーその1。あんまり突っ込むのもなんだけど、たった一つだけこのエントリで共感する部分がありました。お金が足りずにそれを埋めるためだけの仕事というのは不幸であるとは思います。
アホな子供たちでも塾に通わせ、
子供がアホであることと一戸建てであることとは関係がなく論理性に欠けます、なんて指摘は野暮かと思いつつスルー力が足りない私としては一応お約束として。
ますますお金は足りなくなる。そうして夫婦喧嘩が始まる。そのうち離婚だ。私は予想屋ではないが、はっきり見えてしまうのだ。
妄想ストーリーその2。ハッキリ見てるのは幻覚です。たぶん一戸建ては関係ない。先に言ったように、一戸建ての値段はかなり落ちてきていて、アパート暮らしと一戸建てで払うお金というのは、そこまで違いが無いのが実際のところ。先に大見得を切って吐いた「銀行借家」というように、月額出費はそれほど大差があるわけではありませんから、それと矛盾するのではないかとも思いつつ、先へ進むと…
自慢じゃないが、私はいまだにマイホームを持たない。ヤドカリ生活だ。マイホームが欲しいという人の気が知れないのだ。
結論は、やっぱりここだな。分からないなら分からないと、言えばいいのに。
雨露さえ凌げればマイホームもアパートも違いはないのか?
重要なポイントが意外と誰の視野にも入ってないな。主婦的立場…ではなく、家族的立場からすると、かなり切実な違いがあります。小さい子供がいれば、ドンドンと家の中を走り回り、暴れ回り、泣きわめくことが当然だと思いますが、アパートだと回りに気も遣うし、どうしたって音も漏れれば振動も伝わります。その点持ち家は気兼ねなく暮らせます。自転車や子供用の車なんかも、二階や三階に住んでいれば、不便なこともあるでしょう。子供も無い人にはちょっと分からなかったか。バーベキューパーティーくらいしか違いを思いつかないようではなぁ。
あとアパートと一軒家の違いとして大きいのが、環境の差というものがあります。一戸建てに住むということは、新築であれば多くは住宅地に住むということです。住宅地というのは、同じような収入、同じような年代の人が集まるもので、グレードにもよるでしょうが新し目の住宅地なら、有り体に言うなら「DQN」=ドンキホーテにジャージでくるような人、というのは近所に居なくなります。大人同士も子供同士も、共有する部分の多い仲間を見つけやすく、つきあいもしやすい。どこの誰とも知らぬ住人ってのも、そうそう居なくなる。そういうご近所フィルターだけでも、家を持つ価値というのは大きいものだと思います。子供を育てていく環境面でも、より安心できる状態を得やすいのです。
金銭的なデメリットを言うと、どうしても長期ローンが気になるようなら、安い家を買えばいいのですよ。都内に通勤可能な新築一戸建てでそれほど悪くない物件でも土地込みで2000万ちょい、とか言う時代ですからねぇ。安さに重点を絞って新築以外も含めて探せば色々あるでしょう。しかも低金利時代。死ぬまでローン地獄、という一昔前の常套句は、子供はピーマンが嫌いで算数が苦手、っていうことほども普遍性は無いと思います。買ってイキナリローンが20年切ってる、ていう、特に金持ちでもないサラリーマンだってザラですから。
あとデメリットをいくつか。いくら安全基準が上がっても、物理的な堅牢さはアパート、マンションには負けます。蔵書やピアノで家が傾いた経験のある人は、一戸建ては避けるべきかもしれません。それと、同年代や近似所得が固まるとなると、ある面ではセキュリティ上のウィークポイントになるかもしれません。今すぐという話ではなくとも何十年かすれば、そこは老人ばかりの住宅地になるに違いないわけです。
ああ、それとココね。
念願のマイホームを手にして友人・知人を招いてバーベキュー・パーティーをするのは最初だけ。その後は借金の返済に追われバーベキュー・パーティーどころではない。
そうそう、バーベキューについて。バーベキューパーティは最初だけ、という点はその通りなのですが、理由が違います。借金に追われるから、止めちゃうんじゃないんですよ。皆飽きるからというわけでもない。これにも理由があります。私の知る実例をあげましょう。
うちの近所で、バーベキュー好きな家があり、今もよくやっています。その家は、隣接する一軒分の敷地を買って庭として使っています。つまり、豪邸というほどではありませんがそれなりの広さを持った家です。楽しくバーベキューをやってる背後にある事実を当人は知らないわけですが、その家の裏手の一軒家に住むおばあちゃんは、準備を知ると毎回素早く洗濯物を取り込んでいるのです。脂の焼けるニオイとかはかなり洗濯物に移り易いらしいそうで。バーベキューは大抵は夕方から夜なので概ね問題ないし文句を言ったことなど無いとおばあちゃんは言い、ここではなんら問題は発生してないようですが、この「二軒分の家」ですらそうなのですから、ちょっとやそっとの広さの庭があったところで、迂闊にバーベキューなんてやろうものなら、トラブルは発生しやすいでしょうね。ましてや引越し直後、当然近所付き合いが定着しない段階でやろうものなら… まぁそういう理由でバーベキューというのはすぐにやらなくなる、というケースは多いわけです。
そういうことは、住んだり買ったりしないとなかなか分からないことで、帳簿付けてるだけの税理士風情が分かったようなことを言えば恥をかくだけですな。