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ご近所メメントモリ

昨夜はなんだかんだと立てこんで、家に帰ったのが零時を回ってました。一回家に上がってそそくさお金を包んで、スーツのまま出かけました。


十日ほど前のこと、町内会の役員のあつまりで(私役員やらされてます)見舞金の話になりました。ウチの真正面の家のご主人が倒れて入院したということでした。

私の住む町内は、だいたい同時期にできた住宅地で、アパートはありません。ということもあって、住人には傾向があります。おそらく収入に開きがなさそうな感じ、ですとか近い年代が多いことですとか。高齢な世帯というのがあまりありません。町内会長はジイさんだけども(失礼)ほかは大体似通った感じ。私より上の世代が少し多いくらいですかね。

で、町内会役員の集まりの席上で、その病状の話題に。軽い状態でもないらしいとか、会則に従って見舞金を用意してくれとか、そんな話をしてたんです。会長宅に集まって。

私も、いつも隣になるQさんとあれこれ話をしてました。Qさんは上品なオバサンという印象で、見た目だけでなく言動も上品な方です。表情にも品があるので、きっと良い生き方をされてきた方なんでしょう。

その後、私が見舞金の準備をモタモタしている間に、なんとそのQ夫人が入院されたとか。おやまあ。…と思ってるうちに、彼女の訃報が。急な。そんな歳でもないのに。

そういうわけで昨夜は深夜になってしまいましたが、彼女の通夜に行ってきました。


以前、妻と、「死んだ時に『まだ若いのに』といわれるのは、何歳までか?」という話題になり、それは概ね60台ではないかという結論で一致しました。ついでに、いつまで生きたいかという話にもなり、70歳台は、もういいよね、という話にもなりました。60歳台までは、周りのことを考えてもがんばって生きておきたい。でも70歳台は、周りのことを踏まえた上でも、それほど長く生きたくもない、というところで、コンセンサスが家族内で取れたと思います。うん。子供の意向はまだ分からないのですが。

運良く70まで生きることができれば、スパっと逝きたい。できればドクターキリコ。よろしく頼みたい。世間では、安楽死を巡って話題になっているけれども、安楽死に前向きな病院があるのなら、情報を把握しておきたい。自分が入院するときのために。


どこからが人間か。どこまでが人間か。文化や法の観点からするなら、それは恣意的なものにすぎません。日本では「妊娠三ヶ月からが人間」ということになってますが、その中途半端さがまさに象徴的と言えるでしょう。

昔、「間引き」が容認されている段階では、「人間」であるのは生後一定期間からですし、国や文化や時代によってはもっと早くから人間としてカウントされたり驚くほど遅かったりすることもあるでしょう。

人間の終わりもグレーですね。意識がなければ?自力呼吸ができなければ?心臓が止まれば?脳死だと思われててもある朝ひょっこり回復してしまったりすることも、ありえたりするし。また意識があれば生きてるのか、という問題もありますね。養老孟司先生によると、( 唯脳論だったか?何の本だったかは失念してしまいました) どんなに意識があっても、それを何らかの形で表現できなければ生きてないと判断される、ということでした。ちなみに、麻痺が進む病気なんかで最後まで意思を表現できる場所は肛門なのだそうだ。…それた。

たとえば、そんな複雑な現代ではなく、シンプルに姥捨て山の世界では60歳以下が人間、ってことになる。そういうデジタルな線引きで一向に構わないと、自分に限定すれば思ったりします。


三島由紀夫の初期の代表作にして自伝的名作「仮面の告白」は、「自分が生まれた瞬間の話」から始まります。

自分が生まれた瞬間を覚えている、と言い張る少年。金盥のフチの輝きや産湯のきらめき。そしてそれをたしなめる大人。大人たちは、子供の悪意ある嘘だと思うが自分は本当にそれを信じていた。という話から始まります。

虚実ないまぜのエピソードは、まさに「仮面の告白」というタイトルにもふさわしく象徴的、とよく解説されてますが、実際にそういう体験をするケースは、あるそうです。

もちろん事実ではありえないのですが、自分の始点があやふやであることに耐えられない人が、そういう症状になりやすいのだとか。

つまり、彼の自殺は彼によって定義された終点であり、始点だけでなく終点もあいまいであることには耐えられなかった。必然的なことだったというわけです。

そこまで厳格で繊細な神経など全く持ち合わせていない自分ではありますが、あんまりフェードアウトするように崩れていく人生というのは望まないので適当なところで人生終わらせて欲しいな、70過ぎたら。というのも贅沢な話でそこまで無事生き長らえることが前提の話なので、たわごとに過ぎないですね。

メメント・モリ。明日も知れず。

コメント (2)

突然の自殺をしてもおかしくはない状況にかつて置かれていた身としては、今は100歳くらいまでは生きたいですな。

私よりは長生きしてください。順番は守ること。

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